• Strine - Strine Tucker

    豪のイースター・ビルビー

     イースター・バニーじゃなくてビルビーだ!  今日はイースター・サンデーだ。キリスト教の影響が伝統的に強かった諸国では、イースター・サンデーはキリストが再生した日とされて祝う。北半球では春に行い、「再生」のシンボルとしてイースター・エッグを子供中心に配る。伝統的にチョコレート・エッグを配るのはイースター・バニーだ。日本ではバニーがちょっとセクシーな印象があるかもしれないが、うさぎが繁殖に強い動物であり春の「新生」を示すものだ。  しかし、オーストラリアは違う。イギリスの元植民地としてキリスト教の影響があり、イースターを祝う国であるが、宗教的な感覚よりイースター・エッグの販売などにより商業的な雰囲気の方が強い。当然、昔からオーストラリアではイースター・バニーがイースターの象徴の一つだったが、この約20年ではイースター・バニーの代わりにオーストラリア独特の動物であるビルビーが主流となりつつある。  子供たちにチョコレートを配るという役割は変わらないがイースター・ビルビーも違う、もっと重要な意味もある。そもそもオーストリアではうさぎがいなかった。しかし1850年代にはイギリス人一人が十数匹を狩りのために環境に導入した。以降、天敵がほとんどないため、外来種であるうさぎの急激な増殖が著しく約50年後大発生となり環境破壊がはかり知らないほど起こした(うさぎ防止のため世界最長人工物であるラビット・プルーフ・フェンスがオーストラリアの大田舎で作られた)。うさぎにより環境破壊の最も被害を受けた生物の一つがそのビルビーである。  ビルビーはうさぎと少し似ていながらカンガルーなどと同じように有袋類である。ビルビーはもともと数多くなかった動物だが、うさぎの急な増殖などによって絶滅危機となり、今野生ではほとんど存在しなくなり、およそ600匹ぐらいしか残っていないという。  そこで、イースター・バニーの代わりに1993年ジェニー・ブライトという作家が「イースター・ビルビーのバラ・二ム」 という本を出版し、印税をビルビーの保護に寄付し、ビルビーの絶滅危機に対して助けを呼びかけた。以降、イースター・ビルビーがオーストラリア全国で支持されるようになり、オーストラリアでのイースターの独特な祝い方でありながらかわいいビルビーの保護にも役に立ている。イースター・ビルビー関係の販売の一部がビルビー保護に寄付されることがだんだん広がっている。  では、ぜひビルビーを考えながらイースター・サンデーを楽しんでください。