テレビが“ボーガン”をキャラクター化した

オーストラリアのテレビは、 ボーガンという侮蔑語を“文化キャラクター”へと変換するうえで決定的な役割を果たした。
いくつかの重要な番組を見てみよう。
The Comedy Company
1980年代後半、 キャラクター Kylie Mole が登場し、 ボーガンという言葉の特定の使われ方を全国に広めた。ティーン文化、郊外文化、ちょいダサさ—— その全部をコミカルにパッケージした存在だった。
Kath & Kim
これはオーストラリア史上もっとも鋭い “郊外の願望(suburban aspiration)”研究と言っていい。
Kath と Kim は単に「貧しい」わけではない。彼女たちは、見た目、消費、ステータス、ファッション、セレブやライフスタイルに異常なほど執着している。つまり、ボーガン的“願望”を体現している。「背伸びしたい郊外のオージー」を、 笑いと愛情を込めて描いた作品。
Bogan Pride
Rebel Wilson が 2008年に SBS で制作したシリーズ。ここではボーガン文化が 完全にコメディとして前面に押し出され、 “ボーガン・プライド(誇り)”という概念がメインストリームへ進出した。侮蔑語だったはずの言葉が、 「誇り」として再解釈される瞬間をテレビが後押しした。
Upper Middle Bogan
これは知的にもっとも面白い作品かもしれない。設定はこうだ。
“ごく普通の中流家庭が、自分たちの生物学的家族がボーガンだったと知ったらどうなる?”
このジョークが、 階級・趣味・お金・教育・アイデンティティ といったテーマを深く掘り下げる装置になる。笑いながら、 オーストラリア社会の階級構造を観察できる秀逸なシリーズ。
テレビは、 ボーガンを侮蔑語から文化キャラクターへ、 そして国民的アイコンへと変換した最大のメディア。
