ボーガン文化:カルチャー・レポート

エグゼクティブ・サマリー
まず最初に理解しておきたいのは、 「ボーガン」はひとつの明確な社会階層を指す言葉ではないということ。むしろ、オーストラリア文化の中で 驚くほど柔軟に使われるラベルだ。
時代や文脈によって、ボーガンはこんな意味を持ってきた。
- 文化的に洗練されていないとされる労働者階級のオージー
- 郊外の外れに住むオージー
- 露骨にダサい趣味を持つ人
- 特徴的なアクセントや語彙を使う人
- 車・エンジン・ユート(軽トラ的なやつ)に異常にハマっている人
- 酒を飲みすぎる人
- “オーストラリアらしさ”を攻撃的に押し出す人
- 気取ったものを徹底的に嫌う人
- そして最近では—— 自分から「ボーガンです!」と陽気に名乗る人
最後の変化が、実は一番面白い。
■ 侮蔑から「アイデンティティ」へ
もともと“ボーガン”はほぼ 侮蔑語として使われていた。ところが近年は、 「本物らしさ」「オーストラリアらしさ」「文化的スノッブへの反抗」 といった意味を帯びて、 部分的に“誇りのラベル”として再評価されている。言語学者ロズリン・ローワンは、 ボーガンを「否定的な意味が、肯定的な自己認識やナショナリズムへと変換されうる、独特のオーストラリア文化キーワード」と表現している。
つまり、 悪口だったはずの言葉が、国民的アイデンティティの一部になってしまった。
